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N20 — AMF ⇔ SMSF(SMS over NAS)

難易度: 中級 / 想定学習時間: 12分 / 接続点: AMF ⇔ SMSF / Protocol: SBI (HTTP/2 over TLS) / 関連Interface: N1, N21

学習目標

このページを読み終えると、次のことができるようになります。

  • N20が SMS over NAS(制御プレーンNAS経由のショートメッセージ配送) の中核となる SBI(Service Based Interface) であることを説明できる。
  • UEのSMSが NAS(N1)でAMFへ届き→AMFがN20でSMSFへ中継→SMSFが上位SMSインフラへ橋渡し する流れを説明できる。
  • N20の実体がSMSFの提供するサービス Nsmsf_SMService(TS 29.540) であることを説明できる。
  • 「参照点N20」と「サービスNsmsf_SMService」が同じものの2つの見方であることを説明できる。
  • 4G(EPC)の SGs(MME⇔MSC)/ SGd(SMS配送) との対応関係を説明できる。

前提知識

先に以下を理解しておくとスムーズです。

  • SBA / SBI と HTTP/2・TLS の位置づけ → Protocol辞典
  • N20の両端のNF → AMF / SMSF
  • NAS(N1)がUE⇔AMF間の制御プレーンシグナリングであること → N1
  • SMSFがUDMへ登録・SMS加入を確認する連携 → N21
  • Interfaceと参照点の考え方 → Interface辞典

Why — なぜ必要なのか

5GのパケットコアはIPパケット通信を前提に設計されていますが、SMS(ショートメッセージ) は依然として重要なサービスです。ところがSMSは元来、パケットデータではなく制御プレーンのシグナリングで運ばれる文化を持っています。5Gでも、専用のSMS用ユーザプレーンを新設せず、制御プレーンのNAS(N1)にSMSを載せて運ぶ方式(SMS over NAS)が採られました。

このとき、UEのSMSはまず N1(NAS) で AMF に届きます。しかしAMFはあくまでアクセス・モビリティ管理の担当で、SMSそのものを処理・配送する役ではありません。そこでSMSを専門に扱う SMSF(SMS Function) が必要になり、AMFがSMSFへSMSを中継する道が要ります。これがN20です。N20が無ければ、AMFがNASで受け取ったSMSをSMSFへ渡す手段が無く、SMS over NASは成立しません。

例え話: N20は、受付(AMF)から郵便局(SMSF)への社内便です。利用者は受付に手紙(SMS)を渡し、受付は自分で配達せず郵便局へ回送します。郵便局が外部の配送網(上位SMSインフラ)へ橋渡しします。

Overview — 概要

N20は AMF ⇔ SMSF を結ぶ参照点です。N20はSBI(Service Based Interface)である点が、N2(NGAP/SCTP)やN4(PFCP/UDP)と決定的に異なります。SBIとはNF同士がWeb API(HTTP)でサービスを呼び合う仕組みで、共通の転送として HTTP/2 + JSON(RESTful)over TLS を用います。

N20の実体は、SMSFが提供するサービス Nsmsf_SMService(TS 29.540) です。UEのSMSは N1(NAS) でAMFに届き、AMFはこのサービスを呼び出して N20でSMSFへSMSを中継します。SMSFは加入者のSMS対応を N21UDM に確認・登録しつつ、上位のSMSインフラ(SMS-GMSC / IP-SM-GW / SMS-SC 等、本ページの範囲外)へ橋渡しします。

参照点N20とサービスNsmsf_SMServiceは同じものの2つの見方

3GPPのアーキテクチャ図では 参照点として N20(AMF⇔SMSF) が示されますが、SBA(サービス化)ではこれが実体として SMSFのサービス Nsmsf_SMService として実装されます。つまり「N20」と「Nsmsf_SMService」は、同じAMF⇔SMSF間の連携を、参照点の視点/サービスの視点で見たものです。どちらも指しているものは同一で、呼び方(視点)が違うだけ、と捉えてください。

Basic Concept — 初心者向け説明

N20を、受付から郵便局への社内便に例えます。

あなたのスマホがSMSを送ると、そのSMSはデータ通信(土管)ではなく、制御プレーンのNAS(N1) に載って AMF に届きます。AMFは会社の受付のような存在で、SMSそのものを配達はしません。受付は「これはSMS専門部署の仕事だ」と判断し、郵便局にあたる SMSF へSMSを回送します。この回送の道がN20です。SMSFは外部のSMS配送網へ橋渡しし、宛先へ届けます。

逆向き(下り)も同じ経路の折り返しです。外部から届いたSMSはSMSFが受け取り、N20でAMFへ渡し、AMFがNAS(N1)でUEへ配送します。

このAMFからSMSFへの回送は、専用の電話回線(N2やN4のような専用プロトコル)ではなく、社内Webシステム(HTTP)でリクエストを投げて回答をもらうイメージです。これが SBI(Service Based Interface)=NF同士がWeb API(HTTP/2)で会話する仕組みです。要求も応答も、人間に読みやすい JSON という書式でやり取りされます。

Protocol / Transport

項目 内容
Protocol HTTP/2 + JSON(RESTful)— SBI(Service Based Interface)の共通スタック
サービス Nsmsf_SMService(SMSFが提供)— TS 29.540
SBI framework TS 29.500 / TS 29.501 系(SBIの共通規約・OpenAPI定義)
下位Transport TCP、TLS で保護(機密性・完全性・認証)— TS 33.501
ポート SBIの待受ポートは実装依存(NRF登録のエンドポイントで解決)。特定番号は断定しない
特徴 専用L4プロトコルではなくWeb技術ベース。HTTPメソッド(POST/PUT/DELETE)+リソースURIで操作。RESTful

N20はSBI、SMSを運ぶNASはN1側

N20はAMF⇔SMSF間のSBI(HTTP/2 over TLS)です。一方、SMSそのものをUE⇔AMF間で運ぶのは N1(NAS) であり、こちらはSBIではありません。SMS over NASでは「UE⇔AMFはNAS(N1)、AMF⇔SMSFはSBI(N20)」と役割が分かれます。N20の解析にNAS/N1固有の観点をそのまま持ち込まないよう注意してください。

Architecture

N20がAMFとSMSFを結び、SMSはUEからN1(NAS)でAMFに届き、SMSFがN21でUDMと、さらに外部SMS網とも連携する文脈を示します。

flowchart LR
  UE["UE"]
  AMF["AMF"]
  SMSF["SMSF"]
  UDM[("UDM")]
  SMSC["SMS-GMSC / IP-SM-GW (範囲外)"]

  UE -. "N1 (NAS: SMS)" .- AMF
  AMF == "N20 (Nsmsf: SMService)" ==> SMSF
  SMSF -. "N21" .- UDM
  SMSF -. "外部SMS網" .- SMSC

  classDef ctrl fill:#efe,stroke:#3a3,stroke-width:2px;
  class AMF,SMSF ctrl;

図の読み方: UEのSMSは点線のN1(NAS)でAMFへ届きます。AMFは太い線(==>)のN20でSMSFへSMSを中継します(SBI/HTTP2)。SMSFはN21でUDMと連携してSMS加入を確認・登録し、外部のSMS網(SMS-GMSC / IP-SM-GW 等、範囲外)へ橋渡しします。N20は「AMF⇔SMSFの中継」、N1は「UE⇔AMFのSMS搬送」という役割分担に注目してください。

利用Procedure

N20は、UEの登録やSMS送受信のライフサイクルの中で、AMFがSMSFへSMSを中継する際に使われます。

  • SMS有効化(Activation): UE登録時などに、SMSFが加入者のSMS対応を N21UDM に確認し、当該UEのSMSFとして登録する。以降、そのUEのSMSはこのSMSFが扱う。
  • 上りSMS(Mobile Originated): UE → NAS(N1) → AMF → N20 → SMSF → 外部SMS網、の順にSMSが運ばれる。
  • 下りSMS(Mobile Terminated): 外部SMS網 → SMSF → N20 → AMF → NAS(N1) → UE、と折り返しでSMSが届く。

これらの手順の細部(メッセージシーケンス、条件、IE、正確なオペレーション名)は要確認です。SMS対応の有無・SMSF選択の条件は構成・Releaseに依存します。

主なMessage

N20はSBIなので、メッセージはHTTPメソッド + リソース操作の形を取ります(NGAPのようなprocedureCodeではなくRESTful操作)。代表的なサービスオペレーション(名称は要確認の例示)は次のとおりです。

サービスオペレーション(要確認) 用途
Nsmsf_SMService_Activate(要確認) UEのSMSサービス有効化・SMSF登録
Nsmsf_SMService_Deactivate(要確認) UEのSMSサービス無効化・登録解除
Nsmsf_SMService_UplinkSMS(要確認) 上り(MO)SMSをAMF→SMSFへ中継
Nsmsf_SMService_DownlinkSMS(要確認) 下り(MT)SMSをSMSF→AMFへ配送

オペレーション名・方向は要確認です: 上表のオペレーション名(Activate/Deactivate/UplinkSMS/DownlinkSMS)は理解のための例示であり、正確な名称・メソッド・リソースURI・呼び出し方向はTS 29.540のOpenAPI定義に従います。厳密な割り当ては要確認とします。各メッセージの詳細は Message辞典 を参照してください。

Packet Analysis (Wireshark)

N20はSBIなので、キャプチャ上は HTTP/2 として観測されます(NGAP/SCTPのようなL4専用プロトコルは現れません)。SMS本体を運ぶNAS部分はN1側で別途観測される点に注意してください。

目的 Display Filter
HTTP/2メッセージを抽出 http2
ヘッダのパスで絞る(概念) http2.headers.path:pathnsmsf-sms を含む。値は要確認
JSONボディを見る json(復号後)

Decodeの見どころ:

  • N20は TLSで暗号化されます。中身(HTTP/2ヘッダやJSONボディ)を見るには復号鍵(TLSセッションキー等)が必要です。鍵が無ければ tls の暗号化ペイロードとしてしか見えません。
  • 復号できれば、HTTP/2の ヘッダ:method:path.../nsmsf-sms/... を含むリソースパス。パス値は要確認)でオペレーションを識別できます。
  • ボディは JSON(SMS配送に関する制御情報)で、人間に読みやすい構造で入っています。
  • SMSの中身そのもの(NAS上のSMSペイロード)は N1(NAS)側で運ばれるため、N20のキャプチャだけでは完結しません。N1側の観察と合わせて見る必要があります。

EPCとの比較

  • 4Gでは: SMSはパケット網とは別に、SGs(MME ⇔ MSC) でCS(回線交換)網のMSCと連携し、SGd(SMS配送用) でSMSの配送を行っていました(Diameter / MAP 系のシグナリング)。つまりSMSはMSC/CS網を経由する形が残っていました。
  • 5Gでは: SMSを専門に扱う SMSF が導入され、SMS over NAS として制御プレーンのNASにSMSを載せ、AMF⇔SMSF間を N20(Nsmsf_SMService)SBI化して連携します。4GのSGs/SGdが担っていたSMSの取り回しを、5GではSMSF + N20が担います。
4G (EPC) 5G (5GC)
SGs(MME ⇔ MSC)+ SGd(SMS配送) N20(AMF ⇔ SMSF)
Diameter / MAP 系(専用シグナリング) SBI: HTTP/2 + JSON over TLS
—(従来IFに個別規定) TS 29.540(Nsmsf_SMService)
MSC / CS網経由 SMSF(制御プレーンNAS + SBIで完結)

注記(要確認): 4GのSGs/SGd経由のSMSが、5Gで SMSF + N20 に置き換わるという対応関係は概念整理です。SGs/SGdとN20の厳密なマッピング、および各手順の細部は Release・構成により差異があるため要確認とします。上位SMSインフラ(SMS-GMSC / IP-SM-GW / SMS-SC)の詳細は本ページの範囲外です。

3GPP Specification

  • 3GPP TS 29.540 — Nsmsf_SMService サービス(SMS over NAS, N20)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 23.501 §6.2.13 — SMSF(SMS Function)の役割・定義
  • 3GPP TS 23.502 — SMS関連手順(SMS有効化・MO/MT SMS の手順)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 29.500 / TS 29.501 — SBI framework(技術規約 / 設計原則・OpenAPI)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 33.501 — SBIのセキュリティ(TLS等)。個別章番号は要確認

注記(要確認): N20の実体が Nsmsf_SMService(TS 29.540)であること、参照点N20とサービスNsmsfが同じ連携の2つの見方であることは、3GPPアーキテクチャの一般的整理です。各サービスオペレーションの正確な名称・リソースURI・章番号は Release により差異があるため個別には要確認とします。

Summary

  • N20は AMF ⇔ SMSF を結ぶ参照点で、SBI(Service Based Interface)である(Protocolは HTTP/2 + JSON over TLS)。
  • SMS over NAS の中核: UEのSMSは NAS(N1) でAMFへ届き、AMFが N20でSMSFへ中継、SMSFが上位SMSインフラへ橋渡しする。
  • N20の実体はSMSFのサービス Nsmsf_SMService(TS 29.540)参照点N20 = サービスNsmsf_SMService は同じ連携の2つの見方。
  • SMSFは N21UDM と連携し、加入者のSMS対応を確認・登録する。
  • 4Gの SGs(MME⇔MSC)/ SGd(SMS配送) が担っていたSMSの取り回しに相当し、5GではSMSF + N20が担う(対応は要確認)。

Next Step

  • SMSF — N20の相手側。SMS over NASを担うNF
  • N21 — SMSFがUDMと連携しSMS加入を確認する参照点
  • AMF — NAS(N1)でSMSを受け、N20でSMSFへ中継するNF
  • Interface辞典 — N1・N21 ほか参照点の確認
  • Message辞典 / Protocol辞典 — 用語・SBIプロトコルの確認