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AUSF — Authentication Server Function

難易度: 中級 / 想定学習時間: 15分 / 関連NF: AMF, UDM / 関連Interface: N12, N13

学習目標

このページを読み終えると、次のことができるようになります。

  • AUSFが5GCで果たす役割(UE認証のサーバ側)を一言で説明できる。
  • AUSFがAMF・UDMとどう連携して認証を進めるかを図示できる。
  • Registration手続きの中でAUSFがどのタイミングで登場するかを説明できる。
  • 4G(EPC)では専用の認証サーバNFが無かったこと(AUSFとして分離)を説明できる。

前提知識

先に以下を理解しておくとスムーズです。

  • SBA(Service Based Architecture)とNFの基礎 → カリキュラム
  • 認証の全体像とKSEAF等の鍵の考え方 → Protocol辞典
  • AMFの役割(AUSFへ認証を依頼する側) → AMF

この章で学べること

Why(AUSFが無いと何が困るか)から入り、What(役割・保持情報・API)を表とMermaid図で整理し、How(Registrationでの登場、EPC比較、参照Spec)へ進みます。

Why — なぜ必要なのか

ネットワークは「この端末は本当に契約者本人か?」を確かめなければ、なりすましや不正接続を防げません。この本人確認(認証)を、決まった手順(5G-AKA など)で厳密に行う認証の審査官が必要です。これがAUSFです。

AUSFが無いと、AMF(受付)は本人確認を行えず、誰でも登録できてしまいます。逆に言えば、AUSFが認証を成立させ共有鍵(KSEAF)を導出して渡すからこそ、その後の通信を暗号化・保護できます。

例え話: AUSFはビルの警備室(本人確認担当)です。受付(AMF)は来訪者の身分証明を警備室に回します。警備室は社員名簿を持つ人事部(UDM)に照会して真偽を確かめ、「本人確認OK。この鍵で通してよい」と受付へ回答します。警備室自身は名簿の原本を保管しません(それは人事部の役目)。

Overview — 概要

AUSF(Authentication Server Function)は、UE認証(5G-AKA / EAP-AKA')のサーバ側を担当するNFです。AMFからの認証要求を受け、UDMと連携して認証ベクトルを取得・検証し、鍵KSEAFを導出してAMFへ返します。永続的な加入者データは持たず、認証セッション中の一時情報だけを扱う認証専任のNFです。

Basic Concept — 初心者向け説明

AUSFは試験監督のような役です。受験者(UE)が「自分は正規の受験者だ」と主張すると、監督(AUSF)は本部(UDM)から正解データ(認証ベクトル)を受け取り、受験者の答え合わせをします。合格すれば「この人は本物」という証明と、その後使う合言葉(鍵KSEAF)を発行します。監督は問題の原本を保管せず、都度本部から取り寄せる点がポイントです。

なお、AUSFが発行するKSEAFを受け取る相手はSEAF(Security Anchor Function)です。SEAFはセキュリティのアンカー(拠り所)となる機能で、AMFに同居(co-located)しています。つまりAUSF→(KSEAFを渡す)→SEAF/AMF、という受け渡しになります(根拠 TS 33.501 §6)。

Network Function 詳細

項目 内容
役割 UE認証(5G-AKA / EAP-AKA')のサーバ側。AMFからの認証要求を受け、UDMと連携して認証ベクトルを取得・検証し、KSEAFを導出してAMFへ返す
保持情報 認証セッションに関する一時情報(認証状態, 鍵)。恒久的な加入者データは持たない(それはUDM/UDR)
利用する主なAPI(他NFへ呼ぶ) Nudm(Nudm_UEAuthentication_Get(略: UEAU))
提供するAPI(自分が公開) Nausf(UEAuthentication_Authenticate 等)— 3GPP TS 29.509
関連Interface N12(AMF), N13(UDM)
障害時の影響 認証が完了せず、UEは登録不可となる

Architecture

AUSFはAMFとUDMの間に立ち、認証の中継・検証を担います。

flowchart LR
  UE(("UE"))
  AMF["AMF"]
  AUSF["AUSF"]
  UDM["UDM"]

  UE -- "N1 (NAS)" --> AMF
  AMF -- "N12 (Nausf)" --> AUSF
  AUSF -- "N13 (Nudm)" --> UDM

図の読み方: UEの認証要求はNAS経由でAMFに届き、AMFがN12でAUSFへ認証を依頼します。AUSFはN13でUDMから認証ベクトルを取得して検証し、結果と鍵をAMFへ返します。AUSFはUEと直接シグナリングせず、常にAMFを介します。

Interface

AUSFが終端する主なInterfaceと役割です。

Interface 両端 役割
N12 AMF ⇔ AUSF AMFからの認証要求を受け、結果とKSEAFを返す(Nausf)
N13 AUSF ⇔ UDM 認証ベクトル取得など、UDMの認証情報サービスを利用(Nudm)

Procedure での登場

Registration(初期登録)では、AMFが認証を要求した段階でAUSFが登場します。AUSFはUDM(N13)から認証ベクトルを取得し、5G-AKA / EAP-AKA' の手順でUEの応答を検証します。成功するとKSEAFを導出してAMF(N12)へ返し、以降のNASセキュリティ確立の土台を作ります。

詳しい流れは Registration を参照してください。

鍵階層(Key Hierarchy)

5Gのセキュリティは、加入者ごとの永続鍵Kを根として、認証手続きの中で段階的に子鍵を導出していく鍵階層で成り立ちます。AUSFはこの階層の中間で KAUSF を保持し、KSEAF を導出してSEAF/AMFへ渡す、重要な結節点です。

flowchart TB
  K["K(永続鍵)
USIM / ARPF が保持"] CKIK["CK / IK
USIM / ARPF で導出"] KAUSF["KAUSF
(AUSFが保持)"] KSEAF["KSEAF
(AUSFが導出→SEAF/AMFへ)"] KAMF["KAMF
(SEAF/AMFが導出)"] KNAS["KNASenc / KNASint
(NAS保護鍵)"] KGNB["KgNB ...
(AS/無線側の鍵)"] K --> CKIK CKIK --> KAUSF KAUSF --> KSEAF KSEAF --> KAMF KAMF --> KNAS KAMF --> KGNB

図の読み方(上位=根、下位=派生):

  • K … 加入者ごとの永続鍵。USIM側と、ネットワーク側のARPF(UDMに論理的に属する)が保持。
  • CK / IK … AKA演算で導出される暗号鍵/完全性鍵。
  • KAUSF … AUSFが保持する鍵。ここがAUSFの担当範囲。
  • KSEAF … AUSFが導出し、SEAF(AMFに同居)へ渡すアンカー鍵。
  • KAMF … SEAF/AMFが導出。以降のNAS/AS鍵の親。
  • KNASenc / KNASint / KgNB … … 実際の暗号化・完全性保護・無線側保護に使う鍵。

根拠: 3GPP TS 33.501 §6.2(Key hierarchy)。各鍵の導出関数(KDF)や入力パラメータの細部は要確認

EPCとの比較

  • 4Gでは: 認証はMMEとHSSが担い、専用の認証サーバNFは存在しませんでした。MMEがHSSから認証ベクトル(AV)を取得し、UEと直接AKAをやり取りしていました。永続鍵の保持・認証ベクトル生成は HSS 内の AuC(Authentication Centre) が担当していました。
  • 5Gでは: 認証のサーバ機能をAUSFとして独立させました。AMF(アクセス管理)と認証(AUSF)、加入者データ(UDM/UDR)を分離することで、役割の明確化とサービス化(SBA)を実現しています。4GのAuCに相当する機能はARPF(UDMに論理的に属する)が担います。
4G (EPC) 5G (5GC)
専用NFなし(MME + HSS が認証を実施) AUSF
HSS内 AuC(Authentication Centre) ARPF(UDMに論理的に属する)

Release差分

  • Rel-15: AUSFの基本機能(5G-AKA / EAP-AKA' のサーバ側、Nausf)を規定。
  • Rel-16: 機能拡張の有無・章番号は要確認
  • Rel-17: 機能拡張の有無・章番号は要確認

3GPP Specification

  • 3GPP TS 23.501 §6.2.8 — AUSFの機能定義(Network Function の役割)
  • 3GPP TS 29.509 — Nausf サービス(UEAuthentication)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 33.501 — 認証手続き(5G-AKA / EAP-AKA', KSEAF導出)。個別章番号は要確認

Summary

  • AUSFはUE認証(5G-AKA / EAP-AKA')のサーバ側を担う認証専任NF。
  • AMFからの認証要求を受け、UDMと連携してKSEAFを導出しAMFへ返す。
  • 永続的な加入者データは持たず、一時的な認証セッション情報のみを扱う。
  • 終端Interfaceは N12(AMF)と N13(UDM)。
  • 4Gには専用の認証サーバNFが無く、5GでAUSFとして分離された。

Next Step

  • UDM — AUSFが認証ベクトルを取得する相手
  • AMF — AUSFへ認証を依頼する相手
  • Registration — AUSFが認証で登場する手続き
  • NF辞典 / Cause辞典 — 用語・失敗要因の確認