AMF — Access and Mobility Management Function¶
学習目標¶
このページを読み終えると、次のことができるようになります。
- AMFが5GCで果たす役割(登録・接続・モビリティ管理)を一言で説明できる。
- AMFがどのInterface(N1/N2 ほか)を終端し、どのNFと連携するかを図示できる。
- Registration手続きの中でAMFがどう動くかを説明できる。
- 4G(EPC)のMMEとの違い(セッション管理がSMFへ分離)を説明できる。
前提知識¶
先に以下を理解しておくとスムーズです。
- SBA(Service Based Architecture)とNF、SBIの基礎 → カリキュラム
- Interfaceの考え方 → Interface辞典
- NASとNGAPの位置づけ → Protocol辞典
この章で学べること¶
まずWhy(AMFが無いと何が困るか)から入り、What(AMFの役割・保持情報・API)を表とMermaid図で整理し、最後にHow(Registrationでの登場、EPC比較、参照Spec)へと進みます。
Why — なぜ必要なのか¶
スマホの電源を入れると、まずネットワークに「私はここにいます。使わせてください」と申告します。この申告を受け付け、本人確認(認証)の段取りをし、「今この端末はどのエリアにいて、接続中か待機中か」を常に把握し続ける受付・案内係が必要です。これがAMFです。
AMFが無いと、ネットワークは「誰が」「どこに」「どんな状態でいるか」を管理できません。着信(呼び出し)を届ける先も分からず、移動しても追従できません。つまり端末がネットワークに存在すること自体を成立させるのがAMFです。
例え話: AMFは大きなオフィスビルの総合受付です。来訪者(UE)の入館手続き(登録)をし、社員証(5G-GUTI)を発行し、本人確認は警備室(AUSF/UDM)に依頼し、実際の仕事部屋(SMF/UPF)への案内は別部署に取り次ぎます。受付が止まればビルに誰も入れなくなります。
Overview — 概要¶
AMF(Access and Mobility Management Function)は、UEとネットワークの間の制御シグナリングの入口です。無線側の基地局(gNB)からのN2(NGAP)と、UEからのN1(NAS)を終端し、登録管理・接続管理(CM)・到達性管理・モビリティ管理を担います。認証そのものはAUSFへ、セッション管理はSMFへ委ね、AMFはそれらを取りまとめて橋渡しする司令塔として機能します。
Basic Concept — 初心者向け説明¶
AMFを電話交換の交換手に例えます。あなた(UE)が電話局に「加入したい」と電話をかけると、交換手(AMF)が応対します。交換手は本人確認を専門部署(AUSF/UDM)に確認し、確認が取れたら「あなたの番号はこれです」と控え(UEコンテキスト)を作ります。以後あなたが移動しても、交換手はどの地域局にいるかを追跡し、着信をつなげられるようにします。ただし実際の通話回線を引くのは別の担当(SMF/UPF)で、交換手は取り次ぐだけ、という分業になっています。
Network Function 詳細¶
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 役割 | N1(NAS)とN2(NGAP)を終端。UEの登録管理・接続管理(CM)・到達性管理・モビリティ管理。NAS暗号化/完全性保護の終端。SMFへのセッション管理メッセージのリレー(N11)。 |
| 保持情報 | UEコンテキスト(5G-GUTI, 登録状態5GMM, 接続状態CM, セキュリティコンテキスト, allowed NSSAI 等) |
| 利用する主なAPI(他NFへ呼ぶ) | Nausf(UEAuthentication), Nudm(UECM/SDM), Nsmf(PDUSession), Npcf(AMPolicyControl), Nnrf(Discovery) |
| 提供するAPI(自分が公開) | Namf(Communication, EventExposure, MT, Location)— 3GPP TS 29.518 |
| 関連Interface | N1, N2, N8(UDM), N11(SMF), N12(AUSF), N14(AMF間), N15(PCF) |
| 障害時の影響 | 配下UEの登録・セッション確立・モビリティが不可となる(重大) |
SEAF(Security Anchor Function)について: SEAFはセキュリティのアンカー(拠り所)となる機能で、AMFに同居(co-located)しています。AUSFが認証成功時に導出した鍵 KSEAF を受け取る主体がこのSEAFであり、SEAFはそこから KAMF 以降の鍵を導出します。つまりAMFは、SEAFを内包することで5Gセキュリティの鍵階層の起点を担います(根拠 TS 33.501 §6)。
Architecture¶
AMFは5GC制御プレーンの中心に位置し、UE・gNBと各制御NFを結ぶハブです。
flowchart LR
UE(("UE"))
gNB["gNB (基地局)"]
AMF["AMF"]
AUSF["AUSF"]
UDM["UDM"]
SMF["SMF"]
PCF["PCF"]
UE -- "N1 (NAS)" --> AMF
gNB -- "N2 (NGAP)" --> AMF
UE -.無線.- gNB
AMF -- "N12 (Nausf)" --> AUSF
AMF -- "N8 (Nudm)" --> UDM
AMF -- "N11 (Nsmf)" --> SMF
AMF -- "N15 (Npcf)" --> PCF
図の読み方: UEからのNASとgNBからのNGAPはどちらもAMFで終端します。AMFはそこから右側の各NFのサービス(Nausf/Nudm/Nsmf/Npcf)を呼び出して認証・データ取得・セッション管理・ポリシー制御を進めます。
Interface¶
AMFが終端する主なInterfaceと役割です。
| Interface | 両端 | 役割 |
|---|---|---|
| N1 | UE ⇔ AMF | NAS(Non-Access Stratum)シグナリングの論理路。登録要求などを運ぶ |
| N2 | gNB ⇔ AMF | NGAP。基地局とAMF間の制御シグナリング |
| N8 | AMF ⇔ UDM | 加入者データ取得・UEコンテキスト登録(Nudm) |
| N11 | AMF ⇔ SMF | セッション管理メッセージのリレー(Nsmf) |
| N12 | AMF ⇔ AUSF | UE認証(Nausf) |
| N14 | AMF ⇔ AMF | AMF間のUEコンテキスト移送 |
| N15 | AMF ⇔ PCF | アクセス・モビリティポリシー(Npcf) |
Procedure での登場¶
Registration(初期登録)では、AMFが手続き全体の起点かつ司令塔になります。UEからのRegistration Request(NAS)をgNB経由で受け取り、AUSFへ認証を依頼し(N12)、UDMから加入者情報を取得・UEコンテキストを登録し(N8)、必要ならPCFへポリシーを問い合わせ(N15)、最後にRegistration AcceptをUEへ返します。
詳しい流れは Registration を参照してください。
EPCとの比較¶
- 4Gでは: MME(Mobility Management Entity)が、認証・登録・モビリティ管理に加えてセッション管理(ベアラ制御)まで担っていました。
- 5Gでは: MMEの役割のうちアクセス/モビリティ管理をAMFが引き継ぎ、セッション管理はSMFへ分離しました。これにより「接続性の管理」と「セッションの管理」を独立にスケールできます。認証機能もAUSF/UDMへ整理されています。
| 4G (EPC) | 5G (5GC) |
|---|---|
| MME(モビリティ管理部分) | AMF |
| MME(セッション管理部分) | SMF |
| S1-MME | N2 |
Release差分¶
- Rel-15: AMFの基本機能(登録・接続・モビリティ管理、N1/N2終端)を規定。
- Rel-16: 機能拡張(例: eNPN/NPN対応の強化 等)。具体的な章番号は要確認。
- Rel-17: さらなる拡張。具体項目・章番号は要確認。
3GPP Specification¶
- 3GPP TS 23.501 §6.2.1 — AMFの機能定義(Network Function の役割)
- 3GPP TS 29.518 — Namf サービス(Communication / EventExposure / MT / Location)。個別章番号は要確認
- 3GPP TS 33.501 — 5Gセキュリティ/認証手続き(AMFはSEAFを内包しKSEAFを扱う)。個別章番号は要確認
- 3GPP TS 23.502 — 手続き(Registration 等)でのAMFの動作。個別章番号は要確認
Summary¶
- AMFはN1(NAS)とN2(NGAP)を終端する制御プレーンの司令塔。
- 役割は登録管理・接続管理(CM)・到達性管理・モビリティ管理、そしてNASセキュリティの終端。
- 認証はAUSF、セッション管理はSMFへ委任し、AMFは橋渡し役に徹する。
- 保持情報の要はUEコンテキスト(5G-GUTI, 5GMM状態, セキュリティコンテキスト, allowed NSSAI)。
- EPCのMMEに相当するが、セッション管理はSMFへ分離された。
Next Step¶
- AUSF — AMFが認証を依頼する相手
- UDM — AMFが加入者データを取得する相手
- Registration — AMFが主役になる手続き
- NF辞典 / Interface辞典 — 用語の確認